R3年 大気特論 問10(排ガス再循環によるNOx 低減)

問題

燃焼装置における排ガス再循環によるNOx 低減に関する記述中,下線を付した箇所のうち,誤っているものはどれか。

燃焼排ガスの(1)一部を燃焼用空気に混入して燃焼させ,NOx の減少を図る方法である。排ガスと混合された空気は,酸素濃度が低下するので,(2)燃焼速度が低下し火炎の最高温度が低下する。これに伴い,NOx の(3)生成反応が抑制される。その抑制原理から,この方法は,(4)フューエルNOx の抑制に効果が大きいと考えられる。また,強制的に排ガスを再循環する方法として,バーナー自体に燃焼排ガスの再循環機構を組み込んだ,(5)自己再循環形低NOx バーナーもある。

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解答

(4)

解説

サーマルNOx、フューエルNOx、プロンプトNOxは頻出です。以下の通り、整理しましたので、覚えておきましょう。

    
サーマルNOx
  • 空気中のN2とO2の反応によって生じるNox
  • 反応式はZeldovich機構と呼ばれる
  • 温度依存性が高く、温度が高いほど生成速度が大きい
プロンプトNOx
  • 空気中のN2を起源として生成する。
  • 炭化水素系燃料特有のメカニズムで、COやH2の燃焼の場合には見られない
  • 温度依存性は低い
フューエルNOx
  • 燃料中のN2を起源として生成するNox
  • アンモニアやシアンなどの中間生成物を経て生成

温度依存性があるのはサーマルNOxであるため(thermal:熱)、(4)のヒューエルNOxは誤りで、サーマルNOxが正しいと考え、(4)が正解となります。

簡単に排ガス再循環と自己再循環形低NOxバーナーについて解説します。

排ガス再循環してNOxを低減する方法があります。これは燃焼排ガスの一部を燃焼用空気に混焼させ、燃焼温度低下によって、NOx低減を図るものです。排ガスで薄められた空気は通常の空気に比べて酸素濃度が低く、燃料と酸素の反応、すなわち燃焼速度を遅らせることで、火炎の最高温度を低下させ、NOx生成を抑制します。この方法はサーマルNOxの低減には効果がありますが、フューエルNOxにはほとんど効果はありません。

また、バーナー内部で燃焼ガスの再循環を強制的に行わせ、循環域での酸素濃度の低下・燃焼温度の低下によって、NOxの低減を図る自己再循環形低NOxバーナーもあります。

解説記事

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