R2年 大規模大気特論 問9(ごみ焼却における水銀)

問題

ごみ焼却における水銀に関する記述として,誤っているものはどれか。

  1. 水銀は廃乾電池の他に,体温計や蛍光灯などに由来する。
  2. 焼却過程において,ほとんどが揮散し排ガスに含まれる。
  3. 乾電池の水銀不使用化や廃棄物の分別収集などにより,排ガス中の水銀濃度は減少傾向にある。
  4. 水や吸収液を噴霧する湿式法は,除去対策として用いられない。
  5. 活性炭による吸着除去は,有効な対策の一つである。

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解答

(4)

解説

ごみ焼却施設が発生する有害物質として水銀があり、主に廃乾電池、体温計、蛍光灯に由来します。 処理方法として、低温バグフィルター、活性炭、湿式法があります。 (4)について、水や吸収液を噴霧する湿式法は,除去対策として用いられていますので、(4)が誤りとなります。

その他の有害物質についても以下に整理しました。

有害物質 発生源 処理方法
ばいじん 焼却により最後に残った無機質とごく一部の未燃炭素 バグフィルター
電気集じん装置
塩化水素 塩化ビニル樹脂等の塩素系プラスチック焼却時 アルカリ湿式吸収
消石灰噴射乾燥吸収
消石灰-バグフィルター
Sox たんぱく質系厨芥類、加硫ゴム等を焼却
Nox フューエルNox:ごみに含まれる窒素分が燃焼
サーマルNox:燃焼の際の高温雰囲気の中で窒素と酸素が反応
触媒脱硝(SCR)
無触媒脱硝
ダイオキシン ・塩素化された前駆体物質の焼却や加熱分解中に発生
・化学的にはダイオキシン類と無関係な有機物と無機塩素
 (Cl-、塩化水素)の焼却や熱分解により発生
※廃棄物中に元々含まれているものもありますが、焼却過程でほとんど消滅
活性炭吸着
低温バグフィルター
水銀 廃乾電池、体温計、蛍光灯 低温バグフィルター、活性炭、湿式法

解説記事

zoron.hatenablog.com

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