問題
セメント産業の大気汚染防止対策に関する記述として,正しいものはどれか。
- セメント工場内の粉じん対策としてバグフィルターは用いられない。
- 電気集じん装置における集じん効率は,セメント原料ダストの電気抵抗率によらず一定である。
- 二酸化硫黄はセメント原料と反応するため,セメント焼成炉には二酸化硫黄排出に関する規制がない。
- セメントキルン排ガス中のNOx を抑制するため,燃焼管理が行われている。
- 廃プラスチックはダイオキシン発生の原因となるため,セメント製造の熱エネルギー源として使用されない。
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解答
(4)
解説
セメント工場からは大気汚染物質が発生するため、以下のような対策が取られています。
項目 | 対策内容 | 備考 |
---|---|---|
粉じん | バグフィルターで除去 | |
ばいじん | 電気集じん装置で除去 | ※1 |
SOx | セメント製造工程そのものが高い脱硫率を有しているため、脱硫装置は不要 | ※2 |
NOx | 燃焼管理(低空気比燃焼)、排煙脱硝 | |
ダイオキシン | 原料が1450℃まで加熱されるため、ダイオキシンは分解され無害化 | ※3 |
- ※1 電気集じん装置については、ダストの電気抵抗率は集じんのしやすさに大きな影響
- ※2 セメント製造工程で発生したSO2は、400~1000℃の温度領域(プレヒータ部)において、セメント原料中の石灰石(CaSO3)などと以下の反応し吸着されることで97~99%程度が脱硫されます。この工程があるため、特別な脱硫装置は不要です。
- ※3 廃プラスチックがダイオキシンの原因となるのは300~500℃程度の比較的低温で燃やした場合であり、1450℃で燃やしてもダイオキシンはほとんど発生しません。
(4)について、排ガス中のNOx を抑制するため,燃焼管理が行われているので、(4)が正解となります。 その他については、上記から誤りとなります。
解説記事
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