R2年 大気特論 問3(燃焼計算)

問題

ある燃料を完全燃焼させたとき,湿り燃焼排ガス中及び乾き燃焼排ガス中のCO2濃度がそれぞれ8.93%,10.31%となった。この燃料の可燃分中のHとCのモル比(H/C)の値は,およそいくらか。ただし,燃料と燃焼用空気は水分を含まないものとする。

⑴1.0  ⑵1.5  ⑶2.0  ⑷2.5  ⑸3.0

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解答

(5)

解説

解説記事に記載の手順で解いていきます。

1.化学反応式を書く

ある燃料は問題文から、少なくとも炭素Cと水素Hが含まれていることはわかります。炭素Cの数をn、水素Hの数をm、それ以外の元素をX、その数をLとし、ある物質を CnHmXLとすると、m/nを求めることが目標となります。この場合の化学反応式は以下の通りとなります。現時点で不明な係数は□としました。

右辺の係数を以下の計算で埋めていきます。

  • Cの数が左辺と右辺で一致し、左辺のCの数はnであることから、CO2の係数はnになります。
  • Hの数が左辺と右辺で一致し、左辺のHの数はmであることから、H2Oの係数はm/2になります。
  • Xの数が左辺と右辺で一致し、左辺のXの数はLであることから、Xの係数はLになります。

Oの数が左辺と右辺で一致し、右辺のOの数は2n+m/2であることから、O2の係数は(n+m/4)になります。

2.理論酸素量を計算

CnHmXL1molを燃焼させるのに、酸素は(n+m/4)mol必要であり、理論酸素量は(n+m/4)molとなります。

3.理論空気量A0を計算

空気中の酸素は21%のため、理論空気量A0は(n+m/4)÷0.21molとなります。

4.所要空気量Aを計算

問題文で指定されていないため、所要空気量は理論空気量と同一と考えます。

5.燃焼ガス量を計算

反応前後の気体を以下の表にまとめます。

反応前(mol) 反応後(mol)
CnHmXL 1 0
CO2 0 n
H2O 0 m/2
O2(反応に関与) n+m/4 0
空気(N2+O2) (n+m/4)÷0.21 (n+m/4)÷0.21-(n+m/4)
X 0 L

乾き燃焼排ガスはH2Oを除く反応後の全ガス量であるため、以下の通りとなります。 (n+\dfrac{m}{4})÷0.21-(n+\dfrac{m}{4})+n+L …①

湿り燃焼排ガスはH2Oを含む反応後の全ガス量であるため、以下の通りとなります。 (n+\dfrac{m}{4})÷0.21-(n+\dfrac{m}{4})+n+\dfrac{m}{2}+L …②

6.CO2濃度を計算

①より、乾き燃焼排ガス中のCO2濃度は以下の通りです。 \dfrac{n}{(n+\dfrac{m}{4})÷0.21-(n+\dfrac{m}{4})+n+L}=10.31\% …①'

②より、湿り燃焼排ガス中のCO2濃度は以下の通りです。 \dfrac{n}{(n+\dfrac{m}{4})÷0.21-(n+\dfrac{m}{4})+n+\dfrac{m}{2}+L}=8.93\% …②'

7.残りの計算

①'②'からLを消去してnとmの関係式を導けば答えとなります。

①'②'の両辺から逆数をとると以下の通りとなります。

\dfrac{(n+\dfrac{m}{4})÷0.21-(n+\dfrac{m}{4})+n+L}{n}=\dfrac{1}{0.1031} …①''

\dfrac{(n+\dfrac{m}{4})÷0.21-(n+\dfrac{m}{4})+n+\dfrac{m}{2}+L}{n}=\dfrac{1}{0.0893} …②''

②''-①''により \dfrac{m/2}{n}=\dfrac{1}{0.0893}-\dfrac{1}{0.1031}

両辺を2倍し、分数を電卓で計算すると \dfrac{m}{n}=3.0

従って、答えは(5)となります。

解説記事

zoron.hatenablog.com

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