R2年 大規模大気特論 問3(内部境界層の構造と煙の拡散)

問題

内部境界層の構造と煙の拡散に関する記述として,正しいものはどれか。

  1. 滑らかで冷たい海上からの安定な風にのった煙が,陸上の乱流に応じて拡散幅を変化させる。
  2. 谷間や盆地の内部に冷気がたまると,煙は地上近くに滞留しやすい。
  3. 低層大気は平均的には弱安定だが,晴れた日中には地表面が暖められ,安定な大気は下方から侵食される。
  4. 高気圧圏内では,上層大気の沈降による断熱昇温により,下層大気との間に逆転層が形成され,上層への拡散が抑えられる。
  5. 陸上で夜間に形成される安定層は,多くの場合,厚さがせいぜい100 m 程度であり,地上近くの煙の拡散にかかわる。

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解答

(1)

解説

(1)について、海の温度が低いとき、海風は乱れが少ない安定した流れになります。一方、陸側は日射で地表が温められ、乱れが大きくなります。この乱れが小さい領域と大きい領域の境界を内部境界層と呼びます。問題文の記載の通りであり、(1)が正解となります。

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(2)~(5)については、接地安定層(逆転層)に関する記載であり、どれも正しいです。ただし、問題文にある「内部境界層」に関する記載ではありません。

逆転の種類生成原因・特徴
地形性逆転山越えのフェーン気流が谷間の空気塊の上空をふくために発生。そのほか、地形により生じる逆転
前線性逆転前線の存在により、火葬に寒気が、上昇に暖気がくるため発生。前線が停滞するとき大気汚染はひどくなる
沈降性逆高気圧圏内では空気の下降により、気温が断熱上昇し、このため発生する逆転で昼夜区別なく出現する。ロサンゼルススモッグはこれによる
放射性逆転晴れた夜から朝にかけて地表面の放射冷却により発生。晴夜放射逆転ともいう。
移流性逆転冷たい地面上に暖かい空気が流れ込み、下層から気温が下降して発生。しばしば霧を伴う。

解説記事

zoron.hatenablog.com

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