R2年 大気特論 問11(排煙脱硝技術)

問題

排煙脱硝技術に関する記述として,誤っているものはどれか。

  1. 無触媒還元法では,水素を添加すると反応温度を200~300℃低下させることができる。
  2. 活性炭法は,同時脱硫・脱硝技術の一つである。
  3. 酸化還元法は,排ガスにNH3を加え,電子ビームを照射してNOxを硝酸アンモニウムにする脱硝プロセスである。
  4. アンモニア接触還元法のシステムは,主に触媒,脱硝反応器,還元剤注入設備などで構成される。
  5. 国内で最も多く採用されている排煙脱硝技術は,アンモニア接触還元法である。

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解答

(3)

解説

排煙脱硝技術としてはアンモニア接触還元法、無触媒還元法、活性炭法、電子線照射法がありますが、日本ではアンモニア接触還元法が主流です。アンモニア接触還元法は詳細を後で記載しますので、それ以外の技術を以下にまとめます。

無触媒還元法
  • 排ガスにアンモニア尿素を転嫁し、触媒を用いないでNOを選択的に還元
  • 反応式はアンモニア接触還元法と同じ
  • 900~1000℃と高温で反応が進む(水素添加で200~300℃低減可能)
活性炭法
  • 脱硫・脱硝を同時に実施
  • 活性炭によりSOxを吸着し、NOxは活性炭の触媒作用でアンモニアで窒素に還元
電子線照射法

アンモニア接触還元法

反応原理

排ガス中にアンモニアを注入し、触媒の作用によりNOxをN2とH2Oに還元するものです。反応温度は250~450℃程度であり、反応式は以下の通りです。

4NO+4NH_3+O_2→4N_2+6H_2O

なお、アンモニアの代わりに尿素を利用したシステムもあります。

特徴

アンモニア接触還元法の主な特徴は以下の通りです。

  • システムは主に触媒、脱硝反応器、還元剤注入設備などで構成され、脱硝率は90%以上
  • 主な触媒は、酸化チタンを担体とし、酸化バナジウムを活性金属とするもの
  • 触媒の性能低下は熱的・化学的・物理的な要因があり、一般にガス燃料ボイラーよりも石炭燃焼ボイラーのほうが短い。

(3)について、排ガスにNH3を加え,電子ビームを照射してNOxを硝酸アンモニウムにする脱硝プロセスは、酸化還元法ではなく、電子線照射法となりますので、 (3)が誤りです。

解説記事

zoron.hatenablog.com

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