R4年 大気特論 問8(石灰スラリー吸収法)

問題

排煙脱硫プロセスの石灰スラリー吸収法に関する記述として,誤っているものはどれか。

  1. 吸収剤として,石灰石又は消石灰を5 ~ 15 % 含むスラリーが用いられる。
  2. スート分離方式は,スート混合方式に比べて石こうの品質を高めることができる。
  3. スート混合方式は,スート分離方式に比べてイニシャルコストが安くなる。
  4. 別置き酸化方式の酸化工程では,pH 調整槽で硫酸の添加が不要になる。
  5. 吸収塔酸化方式の副生物回収工程では,石こうを分離したろ液は再利用できる。

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解答

(4)

解説

石灰スラリー吸収法は排ガス中のSO2を水でスラリー上にした石灰石(CaCO3)に作用させ、さらに酸化して石こう(CaSO4・2H2O)として回収する方法です。 吸収剤としては石灰石又は消石灰を5 ~ 15 % 含むスラリーが用いられます。

SO_2+CaCO_3+1/2H_2O→CaSO_3・1/2H_2O+CO_2(吸収工程)

CaSO_3・1/2H_2O+1/2O_2+3/2H_2O→CaSO_4・2H_2O(酸化工程)

石灰スラリー吸収法には上記の2工程を分ける「別置き酸化塔方式(スート分離方式)」と、同設備内で両工程を実施する「吸収塔酸化方式(スート混合方式)」がありますが、最近は吸収塔酸化方式(スート混合方式)のメリットが大きく、こちらを採用することが多いです。

  • 別置き酸化塔方式(スート分離方式):ばいじんをあらかじめ除去するため、石こうの品質を高めることができる。
  • 吸収塔酸化方式(スート混合方式):電力・石灰石の使用量が少なく、硫酸の添加も不要。冷却除じん塔不要のため、イニシャルコストが安い

(4)について、別置き酸化方式の酸化工程では,pH 調整槽で硫酸の添加が必要になりますので、誤りです。 硫酸の添加が不要なのは吸収塔酸化方式です。

解説記事

zoron.hatenablog.com

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