R4年 大気特論 問10(エマルション燃料)

問題

エマルション燃料によるNOx 抑制技術に関する記述として,誤っているものはどれか。

  1. 一般に,石油系燃料に水と微量の界面活性剤を加えて混合攪かく拌はんし製造する。
  2. 水と燃料の混合比は2:8 程度である。
  3. 燃料中の水分の蒸発により燃焼温度が低下し,NOx が低減する。
  4. 水滴の蒸発に伴う体積膨張により,噴霧燃料の微粒化が促進され,低空気比燃焼が可能となる。
  5. フューエルNOx の抑制効果が大きい。

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解答

(5)

解説

エマルションとは、ある液体中にこれとまじりあわない他の液体の小滴が微粒子上に均一に分散している状態です。

石油系燃料中に水と微量の界面活性剤を加えて混合撹拌し(水:油=2:8程度)、粒子径が数μmのエマルション燃料を作り、主に水分の蒸発潜熱により火炎温度を下げて、主にサーマルNOxを抑制します。

NOx抑制原理は以下の通りです。

  • 水の蒸発による吸熱:燃料中の水分の蒸発潜熱が燃焼温度を下げて、NOx低減
  • 局所高音部の除去:水分が燃料中に均一に分散しているため、火炎表面だけの冷却だけでなく、火炎中の局所高音部の生成を抑制
  • 噴霧燃料の微粒化促進による低空気比燃焼の実現:燃料中に微粒化されて含まれる水滴の蒸発による体積膨張により、霧化された燃料粒子が弾き飛ばされ、油滴の微粒化を一層促進し、油滴と空気との接触面積が増大し、より低空気比燃焼が可能になり、NOxを抑制

(5)について、エマルション燃料はフューエルNOxではなく、サーマルNOxの抑制効果が大きいので、誤りとなります。

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