R4年 大規模大気特論 問8(石炭火力発電設備の排煙処理システム)

問題

石炭火力発電設備の排煙処理システムの記述として,誤っているものはどれか。

  1. 電気集じん装置は,圧力損失が小さく,動力費が小さいことにより,大規模な発電設備の集じん装置に用いられる。
  2. ばいじんの処理は,単に電気集じん装置だけで処理するのではなく,後段の脱硫装置の除じん機能との組合せによるシステムで処理するように配慮されている。
  3. 煙突からの白煙対策のため排ガスを再加熱する目的で,その熱源として排ガス自身の熱を利用すべく熱交換器が設置されている。
  4. 低低温形電気集じん装置方式を用いた高性能排煙処理システムでは,ガス‒ガスヒーター(GGH)の熱回収部が電気集じん装置の後に設置される。
  5. 一部の流動層ボイラーや微粉炭焚きボイラーでは,活性炭による吸着を利用した脱硫脱硝法も実用化されている。

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解答

(4)

解説

石炭火力発電設備の排煙処理のフローですが、まずボイラーで燃焼し、排煙が出ます。排煙から脱硝(窒素酸化物を除去)、集じん(ばい煙を除去)、脱硫(硫黄酸化物を除去)する過程を経て、煙突で排出されます。

なお、集じん装置上流の排煙温度は低いほうが集じん効率は良くなります。最新の装置では低低温形電気集じん装置と呼ばれるものがあり、電気集じん装置の運転温度を90℃近辺まで下げ、ばいじん捕集性を高めています。温度の下げ方としてGGH(Gas-Gas Heater)と呼ばれる熱交換機を集じん装置上流に設置し、温度を下げています。なお、GGHでは排熱を得られますので、その排熱を脱硫後の排ガス後の再加熱に使用することで、冬場の白煙対策としています。

集じん装置は処理風量が多いので、電気集じん装置がよく使用されます。

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(4)について、低低温形電気集じん装置方式を用いた高性能排煙処理システムでは,ガス‒ガスヒーター(GGH)の熱回収部が電気集じん装置の後ではなく、前に設置されますので、誤りとなります。

解説記事

zoron.hatenablog.com

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