R5年 大規模大気特論 問7(石炭火力発電設備における排煙処理)

問題

石炭火力発電設備における排煙処理に関する記述中,ア~ウの  の中に入る数値・語句の組合せとして,正しいものはどれか。

 ボイラーから出る排ガス中には一般に g/m3N 程度のばいじんが含まれる。国内において 1990 年代半ば以降主流になっている低低温形電気集じん装置方式の排煙処理システムでは,従来 の前段にあったガス-ガスヒーター(GGH)の を電気集じん装置の前に設置することで,ばいじん捕集性の向上を図り,10 mg/m3N 以下の煙突出口濃度を達成している。

 
10~20 脱硫装置 熱回収部
10~20 脱硫装置 再加熱部
 1~ 2 脱硫装置 熱回収部
 1~ 2 脱硝装置 再加熱部
 1~ 2 脱硝装置 熱回収部

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解答

(1)

解説

石炭火力発電所で燃料として使用する石炭は海外からほぼ100%輸入しています。微粉炭火力発電所で発生するガス中のばいじん濃度は、ボイラー出口において、標準状態のガス圧力、温度条件で一般に10~20g/m3程度です。

排煙処理システムフロー

排煙処理のフローですが、まずボイラーで燃焼し、排煙が出ます。排煙から脱硝(窒素酸化物を除去)、集じん(ばい煙を除去)、脱硫(硫黄酸化物を除去)する過程を経て、煙突で排出されます。

なお、集じん装置上流の排煙温度は低いほうが集じん効率は良くなります。最新の装置では低低温形電気集じん装置と呼ばれるものがあり、電気集じん装置の運転温度を90℃近辺まで下げ、ばいじん捕集性を高めています。温度の下げ方としてGGH(Gas-Gas Heater)と呼ばれる熱交換機を集じん装置上流に設置し、温度を下げています。なお、GGHでは排熱を得られますので、その排熱を脱硫後の排ガス後の再加熱に使用することで、冬場の白煙対策としています。

排煙処理システムフロー

上記より、(ア)は10~20、(イ)は脱硫装置、(ウ)は熱回収部となり、(1)が正解となります。

解説記事

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