R4年 大規模大気特論 問1(低層大気の熱的な性質)

問題

低層大気の熱的な性質に関する記述として,誤っているものはどれか。

  1. 温位は,気塊を断熱的に 1000 hPa の状態に移したときの温度変化幅で定義される。
  2. 断熱的に気塊の高度を変化させるとき,乾燥空気では 100 m 上昇すると温度が 0.98 ℃下がる。
  3. 高さ 100 m ごとに温度が 0.98 ℃下がる温度勾配(絶対値)を,乾燥断熱減率という。
  4. 高さ 100 m ごとに温度が 0.6 ℃下がる大気層は熱的に安定である。
  5. 高さ 100 m ごとに温位が 0.1 ℃下がる大気層は熱的に不安定である。

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解答

(1)

解説

(1)について、温位とは空気の塊を乾燥断熱減率に沿って地表面の1000hPaまで下げた時の温度です。温度変化幅ではありませんので、誤りとなります。

(2)(3)について、断熱的に気塊の高度を変化させるとき,乾燥空気では 100 m 上昇すると温度が 0.98 ℃下がります。 この温度勾配を乾燥断熱減率といいます。 従って、(2)(3)ともに正しいです。

(4)(5)について、温位は乾燥断熱減率と気温減率が一致していれば(=中立)、圧力(高度)によらず、一定です。そのため、中立の場合、温位と高度をグラフにするとまっすぐ鉛直なグラフになります(高さに関わらず、温位は一定)。

安定の場合、乾燥断熱減率に沿って(平行に)、地表面に落としていくと、中立よりも高い温度になります。従って、中立よりも高い温位になりますので、高度と温位のグラフは中立よりも右側に傾きます。

不安定の場合、乾燥断熱減率に沿って(平行に)、地表面に落としていくと、中立よりも低い温度になります。従って、中立よりも低い温位になりますので、高度と温位のグラフは中立よりも左側に傾きます。

設問に戻り、(4)は以下の状況になりますので、安定であり、正しいです。

(5)は以下の状況になりますので、不安定であり、正しいです。

解説記事

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