R5年 大気特論 問4(燃焼計算)

問題

石炭を完全燃焼させている燃焼炉で,燃料を石炭からバイオマスに切り替えた。熱負荷と空気比がともに一定となるように調整したとき,燃料切り替え後に空気の供給量はおよそ何%変化するか。なお,熱負荷は燃料の供給量(kg/h)と低発熱量(MJ/kg)を掛け合わせたものとし,燃料性状は以下のとおりとする。

供給時の水分を含む燃料性状(質量%)

  • 石炭   :水分 4 %,炭素 72 %,水素 4 %,酸素 10 %,低発熱量 27.3 MJ/kg
  • バイオマス:水分 5 %,炭素 53 %,水素 5 %,酸素 37 %,低発熱量 17.2 MJ/kg

⑴ - 5 ⑵ - 3 ⑶  3 ⑷  5 ⑸  7

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解答

(5)

解説

各燃料の供給量

各燃料を燃焼させたときに反応するのは炭素と水素であり、化学反応式は以下の通りとなります。

  • C+O_2→CO_2
  • 2H_2+O_2→2H_2O

問題文より

熱負荷(MJ/h)=燃料の供給量(kg/h)×低発熱量(MJ/kg)

であり、熱負荷は一定とあります。

また、低発熱量は

となっているので、燃料の供給量(kg/h)は低発熱量の逆数の比になります。よって、燃料の供給量{kg/h}は

とすることができます。

石炭を燃焼させるのに必要な酸素の供給量

次に、石炭を燃焼させるのに必要な酸素の供給量を求めます。 化学反応式では係数の比はmol比に等しいことと、以下の分子量を使用して、 以下の通り、計算ができます。

  • O2:32
  • C:12
  • H2:2
C + O2 CO2
kg/h 17.2×0.72 \dfrac{17.2×0.72}{12}×32
mol/h \dfrac{17.2×0.72}{12} \dfrac{17.2×0.72}{12}
2H2 + O2 2H2O
kg/h 17.2×0.04 \dfrac{1}{2} \dfrac{17.2×0.04}{2}×32
mol/h \dfrac{17.2×0.04}{2} \dfrac{1}{2} \dfrac{17.2×0.04}{2}

ここで、石炭の燃料の中には10%の酸素が含まれているので、必要な酸素量は17.2×0.1(kg/h)少なくてすみます。

よって、石炭を燃焼させるのに必要な酸素の供給量は以下の通りとなります。

\dfrac{17.2×0.72}{12}×32 + \dfrac{1}{2} \dfrac{17.2×0.04}{2} - 17.2×0.1=36.81(kg/h)

バイオマスを燃焼させるのに必要な酸素の供給量

バイオマスも同様に計算します。

C + O2 CO2
kg/h 27.3×0.53 \dfrac{27.3×0.53}{12}×32
mol/h \dfrac{27.3×0.53}{12} \dfrac{27.3×0.53}{12}
2H2 + O2 2H2O
kg/h 27.3×0.05 \dfrac{1}{2} \dfrac{27.3×0.05}{2}×32
mol/h \dfrac{27.3×0.05}{2} \dfrac{1}{2} \dfrac{27.3×0.05}{2}

ここで、石炭の燃料の中には37%の酸素が含まれているので、必要な酸素量は17.2×0.37(kg/h)少なくてすみます。

よって、石炭を燃焼させるのに必要な酸素の供給量は以下の通りとなります。

\dfrac{27.3×0.53}{12}×32 +\dfrac{1}{2} \dfrac{27.3×0.05}{2}×32- 17.2×0.37=39.4(kg/h)

空気の供給量の変化

酸素の供給量は36.81(kg/h)から39.4(kg/h)に増加することがわかりました。問われているのは空気の変化量ですが、空気中の酸素濃度は一定であるため、酸素の変化量が答えとなります。よって、

\dfrac{39.4}{36.81}=1.07

となり、(5)が正解となります。

解説記事

zoron.hatenablog.com

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