R3年 大気概論 問9(大気汚染物質排出量)

問題

平成30 年度大気汚染物質排出量総合調査(平成29 年度実績)における排出量(重量単位)に関する記述として,誤っているものはどれか。

  1. 硫黄酸化物の固定発生源からの総排出量は,約30 万トンであった。
  2. 窒素酸化物の固定発生源からの総排出量は,硫黄酸化物総排出量の2 倍弱であった。
  3. ばいじんの固定発生源からの総排出量は,硫黄酸化物総排出量の1 割強であった。
  4. 施設種別では,硫黄酸化物,窒素酸化物及びばいじんのすべてについて,ボイラーからの排出量が最も多かった。
  5. 業種別では,硫黄酸化物,窒素酸化物及びばいじんのすべてについて電気業からの排出量が最も多く,鉄鋼業からの排出量はすべてについて第2 位であった。

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解答

(5)

解説

環境省では大気汚染物質排出量総合調査を3年ごとに実施しており、次回の出題はR6年度と予想します。

環境省HPでは、SOx・NOxの排出量は体積(m3N)でメインのグラフには記載しているのですが、細かい表で重量(t)を併記しています。重量の数値も覚えていれば(1)~(3)はすぐに答えられますが、体積のみを覚えた場合に備えた解説をします。

(1): SOxの排出量は以下に示すように、体積では103,644千m3Nですが、重量に換算する必要があります。 SOxは主にSO2のため、分子量はS(32)+O×2(16×2)=64g/molとなりますので、

103,644×1,000 m3÷22.4/1,000 m3/mol×64 g/mol×1,000,000 t/g=296,126 t

となり、設問の約30万トンと近い数字となり、正しいです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/z/zoron/20220225/20220225201022.png 出典:http://www.env.go.jp/air/air/osen/kotei/h30_2.pdf

(2): NO2についても同様に計算すると、NO2の分子量はN(14)+O×2(32)=46g/molとなるので、

273,598×1,000 m3÷22.4/1,000 m3/mol×46 g/mol×1,000,000 t/g=561,853 t

となり、SO2に約2倍となりますので、正しいです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/z/zoron/20220225/20220225201222.png

(3): ばいじんは31,200tのため、硫黄酸化物の1割強となり、正しいです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/z/zoron/20220225/20220225201116.png

(4): 3つの図を見て、すべてボイラーが1位のため、正しいです。

(5): 電気業からの排出量が最も多いのは正しいですが、NOxについては2位位は窒業・土石製品製造業のため、誤りです。

解説記事

zoron.hatenablog.com

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